第71回 正倉院展

主な出陳宝物(おもなしゅっちんほうもつ)


 正倉院の宝物は、ふだん見ることができませんが、例年秋に開かれる正倉院展でその一部が公開されます。今年は天皇陛下の御即位(ごそくい)を記念して、正倉院宝物の成り立ちを示す宝物や、正倉院を代表する宝物、シルクロードを通じて伝わってきた文化を感じさせる宝物が出陳されます。


 聖武天皇ゆかりの宝物のうち、木の下に女の人を描いた「鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)」が、正倉院展では20年ぶりに6扇そろって出品されます。生地を()ぎ合わせて作った「七條刺納樹皮色袈裟(しちじょうしのうじゅひしょくのけさ)」は、出家してお坊さんになった聖武天皇が大切していた品、観音開きの扉のある「赤漆文欟木御厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)」は、代々の天皇に伝えられた由緒(ゆいしょ)正しい(たな)です。


 古代の楽器では、全面を金銀の薄い板で飾った「金銀平文琴(きんぎんひょうもんきん)」が出品されます。どんな音がしたのか、想像してみると楽しいですね。


 「礼服御冠残欠(らいふくおんかんむりざんけつ)」は、聖武天皇や光明皇后、当時の貴族らがかぶっていた(かんむり)の一部で、後の時代の天皇の御即位(ごそくい)と関係が深い品です。


 ほかにも、きらびやかな「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」、ラピスラズリを使った(おび)紺玉帯残欠(こんぎょくのおびざんけつ)」など、(はな)やかな天平文化を伝える品が展示されます。


 今年は、奈良の正倉院展と同じ時期に、東京国立博物館でも正倉院宝物を紹介する特別展「正倉院の世界展-皇室がまもり伝えた美-」が開かれています。2つの展覧会を合わせて鑑賞(かんしょう) すると、もっと深く、正倉院について知ることができますよ。東京の特別展についてはこちら


 それでは、奈良の正倉院展で展示される主な宝物9件を紹介します。会場には、ほかにもたくさん宝物が並んでいるので、ぜひ足を運んでみて下さいね。


  • ☆写真をクリックすると解説が表示されます。
  • 七條刺納樹皮色袈裟

    七條刺納樹皮色袈裟

  • 鳥毛立女屏風(第3扇)

    鳥毛立女屏風(第3扇)

  • 赤漆文欟木御厨子

    赤漆文欟木御厨子

  • 金銀平文琴

    金銀平文琴

  • 礼服御冠残欠

    礼服御冠残欠

  • 紫檀金鈿柄香炉

    紫檀金鈿柄香炉

  • 紺玉帯残欠

    紺玉帯残欠

  • 螺鈿箱

    螺鈿箱

正倉院には、聖武天皇の愛された品々をはじめ、今から約1250年も前の宝物が伝わっているよ。古いもので残していく必要があるから展覧会の時以外は見ることができないんだって。一度、出展された宝物の多くは10年以上展示されなくなるから、しっかり見ておきたいね。
七條刺納樹皮色袈裟(しちじょうしのうじゅひしょくのけさ)

七條(しちじょう)刺納(しのう)樹皮色(じゅひしょくの)袈裟(けさ) 刺縫(さしぬ)いの袈裟(けさ)

 袈裟(けさ)はお坊さんが身につける衣装です。この袈裟は本来ぼろぎれを()ぎ合わせて作ったという袈裟をまねて、色とりどりの美しい生地を使って作られました。仏教を(とうと)び、出家してお坊さんになった聖武天皇が大切にされていた品です。


総幅262cm、縦145cm

鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)(第3扇)

鳥毛(とりげ)立女(りつじょの)屏風(びょうぶ) <ヤマドリの羽毛を貼った屏風(びょうぶ)

大きな木の下に、ふっくらとした優しげな女の人を描いた屏風(びょうぶ)で、20年ぶりに全6扇がそろって展示されます。服や木には、日本産のヤマドリの羽が貼り付けられていましたから、日本で描かれたと考えられています。

※写真は第3扇


長さ135.8~136.2cm、幅56.0~56.5cm

赤漆文欟木御厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)

赤漆(せきしつ)文欟木(ぶんかんぼくの)御厨子(おんずし) <観音開きの扉のある戸棚(とだな)

 ケヤキの木でできた戸棚(とだな)です。聖武天皇と光明皇后が書いた書や、アクセサリー、双六(すごろく)(こま)賽子(さいころ)(ものさし)のような小物を中に収めていました。天武天皇から代々の天皇に伝えられ、大事にされたものです。


総高100.0cm、幅83.7cm、奥行40.6cm

金銀平文琴(きんぎんひょうもんきん)

金銀(きんぎん)平文(ひょうもん)(きん) <金銀飾りの(こと)

 古代の中国で使われていた七本の(げん)のある琴という楽器です(今の琴とは違います)。全面を金銀の薄い板で作った鳥や草花、人物で(かざ)っていて、とてもきれいです。獅子(しし)や伝説の鳥、鳳凰(ほうおう)の姿も見えます。中国・唐の年号が書かれていて、中国製と考えられています。


全長114.5cm、幅13.0~16.0cm

礼服御冠残欠(らいふくおんかんむりざんけつ)

礼服(らいふく)御冠(おんかんむり)残欠(ざんけつ) (かんむり)(かざ)り>

 東大寺の大仏が完成したお(いわ)いの会で、聖武天皇や光明皇后がかぶっていた(かんむり)などの一部です。元は完全な形だったようですが、天皇が即位(そくい)する時の冠のお手本にしようと、(くら)から出し入れしているうちに、(こわ)れてばらばらになってしまいました。鳳凰(ほうおう)や植物の形をした金具、真珠(しんじゅ)やガラス、サンゴなどで作った玉(かざ)りが残されています。

紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)

紫檀(したん)金鈿(きんでんの)柄香炉(えごうろ) ()付きの香炉>

 お坊さんが手に持って、よいにおいのするお香を仏様にお供えするために使った道具です。インド・東南アジアに育つ紫檀(したん)の木でできており、獅子(しし)の形のつまみや、銀でできた蓮の花の(かざり)りがついています。金銀や水晶、赤い色をした織物(おりもの)(かざ)られた、豪華(ごうか)な品です。


長さ39.5cm、高さ7.6cm、炉口径11.0cm

紺玉帯残欠(こんぎょくのおびざんけつ)

紺玉帯(こんぎょくのおび)残欠(ざんけつ) <玉(かざ)りの革帯(かわおび)

 ラピスラズリという青い宝石で(かざ)られた(かわ)の帯です。帯には黒い(うるし)()られていて、金具は銀製で、金メッキがされています。最高級の品で、身分の高い人が使ったり、東大寺の仏様にお供えされたりしたものだと考えられています。


長さ156cm、幅3.3cm

螺鈿箱(らでんのはこ)

螺鈿(らでんの)(はこ) 紺玉帯(こんぎょくのおび)の箱>

 紺玉帯(こんぎょくのおび)を入れていた黒漆(うるし)(ぬり)の円形の箱です。表面は、きれいな貝がらや金の板、水晶で(かざ)り、内側にはきれいな(いろど)りの(にしき)()っています。とても(はな)やかな箱です。


直径25.8cm、高さ8.4cm