第72回 正倉院展

主な出陳宝物(おもなしゅっちんほうもつ)


 正倉院の宝物は、ふだん見ることができませんが、例年秋に開かれる正倉院展でその一部が公開されます。戦後に始まり、72回目となる今年の正倉院展には59件(初出陳は4件)の宝物が展示されます。


 今年は、光明皇后が病人に分け与えるため東大寺の大仏にささげた薬「五色(ごしき)龍歯(りゅうし)」や、遊び道具の「墨絵弾弓(すみえのだんきゅう)」、囲碁(いご)で使う(ばん)桑木(くわのき)木画(もくがの)碁局(ききょく)」が展示されます。


 古代の楽器では、「紫檀(したんの)(そうの)琵琶(びわ)」が出品されます。どんな場で演奏されたのか、想像してみると楽しいですね。


 ほかにも、大きな花文様を表した「花氈(かせん)」、サイや獅子(しし)を、きれいな貝殻で表した「平螺鈿背(へいらでんはいの)円鏡(えんきょう)」、お供えものを入れた「粉地(ふんじ)彩絵(さいえの)(はこ)」など、(はな)やかな天平文化を伝える品が展示されます。


 それでは、今年展示される主な宝物7件を紹介します。会場では、ほかにも多くの品が展示されますが、今年は新型コロナウイルス感染予防のため、来場には前売日時指定券が必要です。来られた人は会場でじっくりと、来られなかった人はお家で正倉院宝物を楽しんでくださいね。


  • ☆宝物の写真をクリックすると解説と写真が表示されます。
  • 五色龍歯

    五色龍歯

  • 墨絵弾弓

    墨絵弾弓

  • 桑木木画碁局

    桑木木画碁局

  • 紫檀槽琵琶

    紫檀槽琵琶

  • 花氈

    花氈

  • 紫檀槽琵琶

    平螺鈿背円鏡

  • 紫檀槽琵琶

    粉地彩絵箱

正倉院には、聖武(しょうむ)天皇が大切にされた品々をはじめ、今から約1250年も前の宝物が伝わっているよ。古いもので後の時代へ残していく必要があるから、展覧会の時以外は見ることができないんだって
五色龍歯

五色(ごしき)龍歯(りゅうし) <くすり>

 聖武天皇が亡くなった後、お后の光明皇后が、聖武天皇が大切にしていた品とともに、東大寺の大仏にささげた薬のうちの1種です。「龍の歯」と呼ばれていますが、実際には象の歯の化石で、気持ちを落ちつかせる効果があるとされています。


歯面の長さ16.7cm 重さ4655g

墨絵弾弓

墨絵(すみえの)弾弓(だんきゅう) <曲芸や楽人が描かれたゲーム用の弓>

丸玉をはじく弓で、もともとは武器でしたが、ゲーム用に使われるようになりました。弓には墨で、手品や曲芸をする人、楽器を演奏したり、踊ったりする人、それを見物する人たちが、細かい筆(づか)いで描かれています。


長さ162.0cm

桑木木画碁局

桑木(くわのき)木画(もくがの)碁局(ききょく) 囲碁(いご)(ばん)

 盤面は、クワノキの木目を生かしたデザインで、象牙(ぞうげ)を使って、縦横19本ずつの線を引いています。側面は、草花の文様を()って表した色染めの象牙やヤコウガイの板で飾っています。


縦52.0cm 横51.9cm 高15.5cm

紫檀槽琵琶

紫檀(したんの)(そうの)琵琶(びわ) (げん)楽器>

 ペルシャで生まれたとされる四本の (げん)を持つ琵琶です。シタン、コクタンといった様々な材木が使われています。表面に貼られたばち受けには、水鳥や山が描かれていて、古代の絵を知るための資料としても貴重です。


全長98.5cm 最大幅41.2cm

花氈

()(せん) <フェルトの敷物>

 2つの大きな円形の花文様が表されたフェルトの敷物です。四隅や長い辺の中央には草花の文様も見えます。近年の研究で、中央アジアなどに残る伝統的な敷物と同じ作り方で作られたようだと指摘されました。


長さ245cm 幅123cm

平螺鈿背円鏡

平螺鈿背(へいらでんはいの)円鏡(えんきょう) <螺鈿飾りの鏡>

 鏡の背面をきれいな貝殻や、ウミガメの甲羅(こうら)、トルコ石といった珍しい素材で飾った豪華(ごうか)な鏡です。花の文様の間に、サイ、獅子(しし)、鳥といった動物の姿も表されています。


直径39.5cm

粉地彩絵箱

粉地(ふんじ)彩絵(さいえの)(はこ) <仏さまへの(ささ)げものを入れた箱>

 淡い紅色を帯びた白地に、赤・オレンジ・紫・緑・黄・白など様々な色で、花や葉の文様を描いた美しい箱です。科学調査によって、日本で作られた可能性が高いことがわかりました。正倉院には同じような目的で使われたと思われる箱が40個ほど伝えられています。


縦22.4cm 横28.4cm 高9.2cm