第74回 正倉院展

主な出陳宝物(おもなしゅっちんほうもつ)


 正倉院の宝物は、ふだん見ることができませんが、終戦後の昭和21年以来、毎年秋に開かれる正倉院展でその一部が公開されます。74回目となる今年の正倉院展には59件の宝物が展示されます。このうち8件は、初めて展示される宝物です。


 今年は、聖武天皇ゆかりの宝物の中から、(はな)やかな文様が施された「(しっ)(ぱい)(きん)(ぎん)(へい)(だつの)(はっ)(かく)(きょう)」などの工芸品のほか、(おう)(じゅく)(こう)(らん)(じゃ)(たい))と並ぶ名香として知られる「(ぜん)(せん)(こう)」が出陳されます。


 聖武天皇の娘・(しょう)(とく)天皇にまつわる、大型の銀製の壺、「(ぎん)()」も見逃せません。


 ほかにも、奈良時代の人のアクセサリーだと考えられる「(さい)(えの)(みず)(どり)(がた)」や、東大寺の大仏(かい)(げん)()で演じされた仮面劇のための仮面「()(がく)(めん) (りき)()」など、(はな)やかな天平文化を伝える品が展示されます。


 それでは、今年展示される主な宝物8件を紹介します。会場では、ほかにも多くの品が展示されますが、今年は新型コロナウイルス感染予防のため、来場には前売日時指定券が必要です。来られた人は会場でじっくりと、来られなかった人はお家で正倉院宝物を楽しんでくださいね。


  • ☆宝物の写真をクリックすると解説と写真が表示されます。
正倉院には、聖武(しょうむ)天皇が大切にされた品々をはじめ、今から1250年以上も前の宝物が伝わっているよ。古いもので後の時代へ残していく必要があるから、展覧会の時以外は見ることができないんだって
白石鎮子

(はく)(せきの)(ちん)() (だい)()(せき)のレリーフ>

 古代中国で四方を守る聖獣(せいじゅう)とされた四神(しじん)と十二支を浮き()りであらわした大理石のレリーフです。正倉院には8点伝わっていて、今年は2点が出展されます。この宝物では、十二支の(とら)()がからまり合っています。


縦21.5cm 横33.3cm 厚4.7cm 重さ8854g

全浅香

(ぜん)(せん)(こう) <香木>

 正倉院に伝わった、大きな良い香りのする香木です。有名な「(らん)(じゃ)(たい)」とともに「(りょう)(しゅ)()(こう)」と呼ばれています。光明皇后が東大寺大仏に献納(けんのう)した品です。今でも香りが残っているそうです。


長さ105.5cm 重さ16650g

漆背金銀平脱八角鏡

(しっ)(ぱい)(きん)(ぎん)(へい)(だつの)(はっ)(かく)(きょう)
<黒(うるし)地に金銀(かざ)りの鏡>

 聖武天皇が大事にしていた品の一つで、光明皇后が東大寺大仏に献納(けんのう)しました。銅製の鏡の背面に黒(うるし)()って、花や鳥の文様をあしらった(はな)やかな鏡です。


長径28.5cm 縁厚0.6cm 重さ2928.6g

鸚鵡﨟纈屛風/象木﨟纈屛風

鸚鵡(おうむ)(ろう)(けちの)(びょう)()(ぞう)()(ろう)(けちの)(びょう)()
<ろうけつ染めの屛風>

 光明皇后が東大寺大仏に献納した聖武天皇のゆかりの屏風です。溶かした(ろう)を生地に塗ることで、その部分が染まらなくする「ろうけつ染め」という技法が使われています。


[鸚鵡]長さ163.0cm 幅56.3cm 本地長154.6cm 幅52.5cm

[象木]長さ163.0cm 幅56.1cm 本地長154.5cm 幅52.5cm

銀壺

(ぎん)() <大型の銀製の(つぼ)

 銀製の(はち)の形をした大きな壺です。表面には、馬に乗った人物が山野でシカやヒツジ、イノシシなどの獲物(えもの)を追う姿が生き生きと表されています。聖武天皇の娘、(しょう)(とく)天皇が、東大寺の大仏に献納した品とされています。


口径42.9cm 胴径61.3cm 総高46.6cm 壺の重さ35100g 台の重さ7100g

金銀平脱皮箱

(きん)(ぎん)(へい)(だつの)(かわ)(ばこ) <金銀飾りの皮箱>

 黒褐色(くろかっしょく)地に、金銀で花の枝をくわえた鳳凰(ほうおう)や鳥などをあらわした豪華(ごうか)な箱です。動物の皮をベースに、何重にも(うるし)()り重ねて作られました。


縦33.0cm 横27.0cm 高さ8.6cm

彩絵水鳥形

(さい)(えの)(みず)(どり)(がた) <鳥形の飾り具>

 ヒノキ製の薄い板を飛ぶ鳥の形に切り取ったアクセサリーです。背中を緑色、腹を白色、くちばしを赤色で()っています。(つばさ)や尾には羽毛を()り付け、さらに金箔で飾るなど、とても丁寧に作られています。衣服につける飾りであったとも考えられています。


長さ2.6cm 厚0.2cm

伎楽面 力士

()(がく)(めん) (りき)() <仮面(げき)に用いられたお面>

 仮面をつけて演じる「伎楽(ぎがく)」という劇に用いる仮面です。髪の毛を頭の上にたばねる「(もとどり)」という髪型で、口を閉じて、下唇(くちびる)をかみしめる特徴から、悪者を()らしめる力士の役だとされています。東大寺の大仏(かい)(げん)()で使われました。


縦35.9cm 横23.5cm 奥行31.8cm